レトロ万華鏡

昭和レトロなものいっぱいのブログです。

似而非カラーシリーズ  白黒映画のスチールをカラー化する14 黒い雨

f:id:T_YAMADA:20191106204439j:plain

唐突ですが、キャンディーズのスーちゃん、お好きですか?

中学時代、憧れのマドンナでした。

高校入学の数日前が後楽園のファイナルカーニバル。

ええ。

勿論、行きましたとも。

スーちゃんには弟さんがいました。

歳は私と一緒。

なので私はスー姉さんとお呼びしてます。

本物の弟さんは、わずか19歳で骨肉腫により世を去ります。

スー姉さんは弟さんの看病を献身的にしてました。

「看病してくれるのは嬉しいけど、テレビに出ている姉ちゃんが見たい!」

あるとき言われた弟さんの一言で悩みました。

普通の女の子に戻ったんだ。

今更芸能界に興味はない。

でも……。

ミキちゃんの隣家は萩本欽一のウチ。

大胆にもスー姉さん萩本欽一さんに相談しました。

「弟さんのために芸能界に戻って一等賞取ろうよ!」

励まされて、スー姉さんは女優として復帰する決意を固めました。

スー姉さんの映画で代表的な映画が三本あります。

私はこれを三大スーちゃん映画と命名しました。

三大スーちゃん映画

1.土佐の一本釣り

男はつらいよで蘭ちゃんがマドンナだったときに同時上映された作品。

セーラー服姿のスー姉さんが超絶に可愛らしい!

2.0からの風

一人息子を酔っ払い運転のクルマに轢き殺された母親が立ち上がって、危険運転致死罪新設のため、奔走する話。

そして、

三つ目が今回紹介する「黒い雨」です。

1989年公開の今村昌平監督作品です。

原作は井伏鱒二の小説です。

f:id:T_YAMADA:20191106204606j:plain

スー姉さん演じる高丸矢須子(20)は広島に原爆が落とされたとき、瀬戸内海で小舟に乗っていました。

そこに黒い雨。

幼い頃から矢須子を引き取って育てた叔父の閑間重松(北村和夫)は通勤途中の横川を走る電車の車内で被曝。

f:id:T_YAMADA:20191106205531j:plain

頬に火傷を負ったが軽傷だった。

矢須子の母親代わりの閑間シゲ子(市原悦子)は爆心地ではない家屋の中にいたのでとりあえず無事。

矢須子と叔父夫婦は疎開することにした。

途中広島市街地を通るとそこは地獄。

瓦礫の山と黒こげ死体の山。

全身大火傷を負って、水を求める被曝者。

恐ろしい光景を目にしながら、三人は広島を脱出して疎開を果たす。

f:id:T_YAMADA:20191106204639j:plain

5年後、矢須子は結婚適齢期に。

原爆症を発症してません。

元気です。

証明するために健康診断を受けて、医師の診断書を取ります。

でもお見合いはことごとく破談。

「被曝者」の三文字で相手にされないのです。

ただ一人、近所の雑貨屋の息子・岡崎屋悠一とはいい感じになりました。

普段は石像を彫って石工のようにしている心優しい男性。

しかし復員兵でPTSDを患っていました。

遠くからバスのエンジン音がすると、バスが米軍戦車に見えて、自分の枕が戦車地雷に見えるんです。

「敵襲!」

枕を抱えてバスに飛び込もうとします。

そこで雑貨屋女将であるお母さんが「作戦成功」と後から叫ぶと部屋に戻っちゃう。

優しくて石工でも雑貨屋でもやっていけそうな人なのにエンジンの音で戦場の記憶がフラッシュバックするわけです。

そうこうするうちに叔父の友人たちが相次いで原爆症で亡くなります。

みんな原爆投下後、広島に救助活動に行って二次被曝に遭った人たちでした。

健康診断してくれた医者の勧めでアロエを植えて、食べるようにしてます。

私は大丈夫!

ところが風呂上りのある日、髪の毛がごそっと抜けるんです。

恐ろしい光景を目にした叔母さん、ひと月後にポックリ逝きました。

f:id:T_YAMADA:20191106204732j:plain

矢須子も身体がだんだん弱って自宅療養することになりました。

近所の池に叔父はよく釣りに行きます。

体調がいいとついていきます。

原爆症の恐怖でアタマがおかしくなったのでしょう。

巨大な鯉が高く跳ね回る幻覚を見て、矢須子は倒れてしまいます。

救急車で運ばれる矢須子。

後姿を雑貨屋の悠一が見守るところで終了。

病院で亡くなったか、一命をとりとめたかは語られません。

救いのない結末に今村昌平監督は最初、画竜点睛を欠くと考えました。

監督はスー姉さんにおばあさんのメイクをして巡礼衣装を着せて、広島を歩かせました。

矢須子は一命をとりとめ、巡礼をして、被曝者の霊を慰めました。

これが今村昌平監督のエンディングです。

でも、これって蛇足じゃない?

監督は悩みに悩んだ末に、自分が考えたカラーフィルムのエンディングをカットしました。

結果、原爆への深い悲しみと怒りをたたえた問題作として、日本アカデミー賞を受賞しました。

何故平成元年公開作が白黒?

コレはカラーで撮ったら、原爆を落とされて全身火傷を負った被曝者がスプラッターホラー映画みたいになって、ひたすらキモい。

それでは被曝者への哀悼の意や悲しみ、怒りを表現出来ません。

さらに舞台が1945年と1950年なので白黒映像で古く見せようって狙いもあったと思います。

ともあれ、スー姉さんはこの作品の演技を評価されて日本アカデミー賞主演女優賞を受賞!

文字通り一等賞取ったわけです。

弟さんへの供養となったことでしょう。

似而非カラーシリーズ  白黒映画のスチールをカラー化する13 天国と地獄

f:id:T_YAMADA:20191105213303j:plain

「今度、名画座でビジネス特急こだま号を貸切ってロケをやった映画が上映されるってよ」

高校生の私はとっておき情報ゲット!

幼稚園児の時、絵本で見つけて乗りたがった「ビジネス特急こだま号」

その頃のこだま号は新幹線の各駅停車なのに!

カッコいいって思ったんですよ。

その後、こだま号の電車は上越線のときと中央線のあずさになりました。

中学2年から誕生日プレゼントで貰ったポケットカメラを持って休日に上野駅にたむろするガキになりました。

ビジネス特急こだま号でロケをやった映画が上映?

おいしいニュースですよ。

勿論見に行きました。

1963年封切。

同時代の植木等の無責任シリーズはカラーです。

当然カラーでしょ?

ありゃっ?白黒だ!

前回お約束したカラー映画時代に撮影された白黒映画、一本目はコレ!

黒澤明監督作品「天国と地獄」です。

あらすじはこんなのでした。

f:id:T_YAMADA:20191105213340j:plain

横浜のスラム街に住んでる貧しいシャブ中の研修医の竹内銀次郎は丘の上を見ては嘆きます。

演じているのは若き日の山崎努

棺桶の鉄です。

「くっそー!金持ち共め!今にみやがれ!」

ある日竹内は仲間を集めて、丘の上の豪邸の家の子を誘拐します。

丘の上の豪邸は大きな靴工場の重役さんの家。

三船敏郎演じる靴工場の重役権藤金吾は仕事に厳しい。

ちょっとでも仕上がりの悪い靴を作ると、「ダメだ!こんなの!」って激怒して靴を千切るんです。

鬼ですね。

権藤の息子はマグマ大使を笛で呼び、大人になってからはニッチもサッチもどうにもブルドックだった江木俊夫

拐われた筈が家に帰ってきます。

なんと誘拐されたのは権藤の子ではなく、お抱え運転手の息子でした。

竹内は誘拐する子供を取り違えました。

しかし身代金は計画通り3千万円要求。

f:id:T_YAMADA:20191105213526j:plain

受け渡し方法は厚さ7cmのアタッシュケースに入れて、ビジネス特急こだま号に乗る。

相模川の鉄橋から身代金入りアタッシュケースを落とすべし。

実際にこだま号は客室は全て固定窓。

f:id:T_YAMADA:20191105213437j:plain

でもトイレだけ、窓が内側に7cm倒れて開くんです。

コレは映画のスチール写真ではありませんが、ビジネス特急こだま号の写真です。

f:id:T_YAMADA:20191105213600j:plain

幅7cmの開口部からアタッシュケースを竹内は指示通り相模川の河原に落とします。

下にいた竹内たちは見事にキャッチ!

緊迫感溢れてました。

竹内たちはお抱え運転手の息子を解放し、身代金を持って逃走。

運転手の息子の証言で犯人のアジトらしき場所に刑事が踏み込む。

でも、そこには殺された共犯者たちの遺体が転がっていました。

身代金を独り占めするため、仲間を皆殺しにしたわけです。

刑事は誘拐並びに殺人容疑で竹内を追います。

竹内の潜伏先を絞り込んだところ、ピンクの煙が上がりました。

f:id:T_YAMADA:20191105213728p:plain

ここだけは似而非カラーにしませんよ!

だって、黒澤明監督が一番撮りたかった場面ですからね!

身代金のアタッシュケースには仕掛けがありました。

燃やすとピンクの狼煙が上がるんです。

白黒画面で煙だけどピンクですよ!

刑事たちが煙が上がった場所を探し出し、山崎努演じる誘拐犯の竹内は捕まって死刑になります。

内容からしたら、フルカラーでも不思議はありません。

でも白黒映画。

どうも、黒澤明監督は白黒の街並みからどピンクの煙が上がる動画が撮りたくって、撮りたくって、白黒フィルムを使ったようです。

そうじゃないンですか?

監督!!

あと、今回、「天国と地獄」を紹介するにあたって、改めて予告編を確認しました。

いやはや、面白いモノを見つけましたよ。

食堂の窓に白ペンキで書かれたお品書き!

f:id:T_YAMADA:20191105213914j:plain

サラダ定食

상추정식

焼肉定食

불고기 정식

野菜五目飯

비빔밥

なんと韓国語です。

日ノ出町という設定のようです。

あの辺り、今でも小さなコリアタウンがあります。

1960年代初頭にもホントに韓国人が店を構えてハングルの看板を出していたら、興味深いですね。

似而非カラーシリーズ  白黒映画のスチールをカラー化する13 天国と地獄

f:id:T_YAMADA:20191105213303j:plain

「今度、名画座でビジネス特急こだま号を貸切ってロケをやった映画が上映されるってよ」

高校生の私はとっておき情報ゲット!

幼稚園児の時、絵本で見つけて乗りたがった「ビジネス特急こだま号」

その頃のこだま号は新幹線の各駅停車なのに!

カッコいいって思ったんですよ。

その後、こだま号の電車は上越線のときと中央線のあずさになりました。

中学2年から誕生日プレゼントで貰ったポケットカメラを持って休日に上野駅にたむろするガキになりました。

ビジネス特急こだま号でロケをやった映画が上映?

おいしいニュースですよ。

勿論見に行きました。

1963年封切。

同時代の植木等の無責任シリーズはカラーです。

当然カラーでしょ?

ありゃっ?白黒だ!

前回お約束したカラー映画時代に撮影された白黒映画、一本目はコレ!

黒澤明監督作品「天国と地獄」です。

あらすじはこんなのでした。

f:id:T_YAMADA:20191105213340j:plain

横浜のスラム街に住んでる貧しいシャブ中の研修医の竹内銀次郎は丘の上を見ては嘆きます。

演じているのは若き日の山崎努

棺桶の鉄です。

「くっそー!金持ち共め!今にみやがれ!」

ある日竹内は仲間を集めて、丘の上の豪邸の家の子を誘拐します。

丘の上の豪邸は大きな靴工場の重役さんの家。

三船敏郎演じる靴工場の重役権藤金吾は仕事に厳しい。

ちょっとでも仕上がりの悪い靴を作ると、「ダメだ!こんなの!」って激怒して靴を千切るんです。

鬼ですね。

権藤の息子はマグマ大使を笛で呼び、大人になってからはニッチもサッチもどうにもブルドックだった江木俊夫

拐われた筈が家に帰ってきます。

なんと誘拐されたのは権藤の子ではなく、お抱え運転手の息子でした。

竹内は誘拐する子供を取り違えました。

しかし身代金は計画通り3千万円要求。

f:id:T_YAMADA:20191105213526j:plain

受け渡し方法は厚さ7cmのアタッシュケースに入れて、ビジネス特急こだま号に乗る。

相模川の鉄橋から身代金入りアタッシュケースを落とすべし。

実際にこだま号は客室は全て固定窓。

f:id:T_YAMADA:20191105213437j:plain

でもトイレだけ、窓が内側に7cm倒れて開くんです。

コレは映画のスチール写真ではありませんが、ビジネス特急こだま号の写真です。

f:id:T_YAMADA:20191105213600j:plain

幅7cmの開口部からアタッシュケースを竹内は指示通り相模川の河原に落とします。

下にいた竹内たちは見事にキャッチ!

緊迫感溢れてました。

竹内たちはお抱え運転手の息子を解放し、身代金を持って逃走。

運転手の息子の証言で犯人のアジトらしき場所に刑事が踏み込む。

でも、そこには殺された共犯者たちの遺体が転がっていました。

身代金を独り占めするため、仲間を皆殺しにしたわけです。

刑事は誘拐並びに殺人容疑で竹内を追います。

竹内の潜伏先を絞り込んだところ、ピンクの煙が上がりました。

f:id:T_YAMADA:20191105214508p:plain

ここだけは似而非カラー化しませんよ!

だって黒澤明監督が一番撮りたかった場面でしょうから。

身代金のアタッシュケースには仕掛けがありました。

燃やすとピンクの狼煙が上がるんです。

白黒画面で煙だけどピンクですよ!

かくして山崎努演じる誘拐犯の竹内は捕まって死刑になります。

内容からしたら、フルカラーでも不思議はありません。

でも白黒映画。

どうも、黒澤明監督は白黒の街並みからどピンクの煙が上がる動画が撮りたくって、撮りたくって、白黒フィルムを使ったようです。

そうじゃないンですか?

監督!!

あと、今回、「天国と地獄」を紹介するにあたって、改めて予告編を確認しました。

いやはや、面白いモノを見つけましたよ。

食堂の窓に白ペンキで書かれたお品書き!

f:id:T_YAMADA:20191105214754j:plain

サラダ定食

상추정식

焼肉定食

불고기 정식

野菜五目飯

비빔밥

なんと韓国語です。

日ノ出町という設定のようです。

あの辺り、今でも小さなコリアタウンがあります。

1960年代初頭にもホントに韓国人が店を構えてハングルの看板を出していたら、興味深いですね。

似而非カラーシリーズ  白黒映画のスチールをカラー化する12 幕末太陽傳

f:id:T_YAMADA:20191104174554j:plain

フランキー堺って知ってますか?

ジャズドラマーで有名な人だった人らしいのですが、子供の頃、よく見かけたゲタ面のコミカルな俳優さんでした。

今回はフランキー堺の白黒コメディ映画のスチール写真をカラーにしてみました。

1957年公開の日活映画。

監督はわずか45歳で亡くなった鬼才川島雄三

原作はなんと古典落語です。

居残り佐平次

舞台は文久2年の品川宿の遊廓「相模屋」

フランキー堺演じる佐平次は仲間と連れだって相模屋に遊びに行きます。

お金のない佐平次は居残りを決めて、相模屋の下働きになります。

そこで下働きの仕事に加えて、遊女たちや出入りする人たちのトラブル解決まで大活躍!

石原裕次郎演じる高杉晋作からは借金のカタまで取りました。

佐平次を巡って女郎たちは睨み合いまで始めます。

なんか後々の有頂天ホテル的なドタバタ喜劇ですね。

1950年代の白黒映画スチール写真のカラー化は今回で一旦終了します。

次回から二回に渡ってカラー映画が普及した時代に白黒で撮影された映画のスチール写真をカラー化してみます。

似而非カラーシリーズ  白黒映画スチールをカラー化する11 二十四の瞳

f:id:T_YAMADA:20191103195716j:plain

「大石、小石、大石、小石!」

子供たちのはやす声。

壺井栄の小説「二十四の瞳」ですね。

映画化は1954年の高峰秀子版と1987年の田中裕子版の二回です。

白黒映画は高峰秀子版です。

f:id:T_YAMADA:20191103195740j:plain

昭和3年

小豆島に若い女性教師が赴任します。

教師として奮闘する大石先生。

子供たちのいたずらで作られた落とし穴に落とされることも。

怪我で療養している大石先生を子供たちはお見舞いします。

やがて本校に転勤。

その後太平洋戦争勃発。

軍国主義教育が嫌な大石先生は学校を辞めます。

戦後、大石先生は再度教師になり、小豆島にやってきます。

戦争や病気で人数の減ったかつての教え子たち。

同窓会をやって自転車をプレゼントしてくれました。

そんなストーリーでした。

子供の頃、白黒テレビで見ました。

ボンネットバスが出てきたのをかすかに覚えています。

f:id:T_YAMADA:20191103195806j:plain

当時の撮影バスは保存されてます。

でも銀と黒だったって知ってましたか?

白黒映画だったから、こんな塗り分けにしちゃったんですね。

似而非カラーシリーズ  白黒映画のスチール写真をカラー化する10 東京暮色

f:id:T_YAMADA:20191102171135j:plain

やったぁ!

ついにリクエストが来ましたよ!

SNS経由で。

嬉しいから早速やりますね。

リクエストは小津安二郎監督作品で、「東京暮色」

1957年封切。

小津監督最後の白黒映画です。

実は私、観てないんです。

早速調べてみました。

ここは有馬稲子演じる杉山明子目線でいってみましょう!

親父の笠智衆演じる周吉は、男やもめの銀行員。

どっかどーんと構えているようなとこはあるけど、実の父かどうか、あ、や、し、い!

姉貴の原節子演じる孝子は娘を連れて出戻り。

f:id:T_YAMADA:20191102171203j:plain

雀荘の女将の山田五十鈴演じる喜久子。

自分のことを尋ねて回っている。

あ、や、し、い。

ホントはお母さんじゃ?

でも否定されました。

普段の生活はかなり荒れてる。

不良と付き合って、妊娠。

中絶手術の後、ホントはお母さんなんでしょ?と問い詰める。

実は喜久子は昔、周吉の部下と逃避行していた。

映画評論で暗い作品って評価されてました。

小津映画の白黒作品は墨絵のような淡い作品って印象を持っていましたが、コレはかなりドロドロしてますね。

父と娘の絆、母と子の絆を描いた名作ですが、このシチュエーション、のちに色々使われてますね。

父と娘は山口百恵の赤い運命ですね。

そっちは伊勢湾台風で赤ちゃん入れ違いが起きた設定でした。

母と子なら男はつらいよの寅さんとミヤコ蝶々の芸者上がりのやり手ババア。

寅さんを思いっきり突き放しますよね。

親子の絆って難しいですよ。

血が繋がって仲良しになるとは限りません。

父が生きている頃は煙たがって遠ざけてました。

海原雄山磯野波平星一徹を一人におまとめした怖いオヤジだったんで。

死んでから、父の心境が分かるようになりました。

親父が怖かったから、ああならんようにしようと頑張りました。

でもうまくいかないもんです。

息子は私を気分屋だと敬遠します。

理屈っぽいから。

私の逆張りしたら、じいさん似ですよ。

計算大好き。

力あるし。

親子って難しいですね。

距離の取り方が。

レトロ万華鏡ではリクエスト歓迎します。

やって欲しいテーマがありましたら、このブログダイレクトか、SNSで是非!

似而非カラーシリーズ  白黒映画のスチールをカラー化する9 東京物語

f:id:T_YAMADA:20191101203813j:plain

白黒の日本映画というと1950年代に人気のあった黒澤明作品ばかり挙がっちゃいますよね。

アレ!?

小津安二郎は?

どこからか、声が聞こえてきそうです。

分かりました。

やりましょう!

小津作品からご紹介するのは1953年公開、松竹配給の「東京物語」です。

男はつらいよの御前様こと笠智衆演じるお爺さんと東山千栄子演じるお婆さんが尾道から上京。

子供たちを訪ねるのですが、忙しい忙しいと邪険に扱います。

そんな中、戦死した次男坊の奥さん、原節子演じる未亡人だけがお爺さんお婆さんに優しく接しました。

しっかり東京見物の案内までかって出て。

お爺さんお婆さんは未亡人の手厚いもてなしを受けて尾道に帰りました。

ほどなく、お婆さんは死んじゃうんです。

葬儀に子供たちが集まりました。

未亡人は甲斐甲斐しく働く一方で、他の子供たちはわがまま勝手ばかり。

さっさと葬儀を済ませると東京に帰ってしまいました。

最後まで残って片付けの手伝いをしたのは未亡人。

お爺さんは「旅行の時は世話になった」とお婆さんの形見を未亡人に渡しました。

すると未亡人は泣き崩れる!

田舎から来る老夫婦と邪険にする子供たちというシチュエーションはその後、韓国映画にも取り入れられました。

1985年封切の「長男」(監督: イ・ドゥヨン(李斗鏞))です。

小津作品と違うところはお爺さんお婆さんが故郷の村がダムで水没するためにソウルに出てくる。

老夫婦の世話焼きは末っ子。

長男は済州島に長期出張。

その間にお婆さん死去。

最後に長男が号泣。

「どうしてもっとちゃんと親孝行出来なかった!」

基本的シチュエーションは東京物語ですが、しっかりコリアンテイストになってました。

孝行したいときに親はなし!って結構普遍的テーマですね!