似而非カラーシリーズの白黒映画のスチール写真をカラー化する試み、今回は「君の名は」です。
私の世代ではなく、母の世代から上の人たちが見ていた映画ですね。
元々は1952年から1954年にかけてNHKのラジオドラマとして放送されていたものでしたが、放送中は銭湯の女湯がガラガラになると評判の作品でした。
あまりに人気があったため、3部作の映画になりました。
第1部は1953年9月封切り、第2部は同じ年の12月封切り、第3部は1954年4月封切りでした。
ラジオ版はヒロインの氏家真知子を阿里道子、相手役の後宮春樹を北沢彪が演じましたが、ここで紹介する映画版では真知子が岸恵子、春樹が大物俳優中井貴一のお父さんの佐田啓二でした。
岸恵子は1951年に「我が家は楽し」でデビューしていましたが、この「君の名は」で一気に大スター女優になりました。
第1部公開時に岸恵子は若干21歳でした。
あらすじは次の通り。
太平洋戦争の東京大空襲で焼夷弾の雨の中、偶然一緒になった真知子と春樹は逃げ惑ううちに銀座の数寄屋橋にたどり着きます。
一夜明けて二人は名前も聞かないままもし無事なら、半年後、ダメなら1年後に数寄屋橋で再開しようと約束します。
半年後、一年後、お互いに会いに行きますが、行き違いで会えず。
一年半後やっと再開しますが、その時真知子は翌日が結婚式の身の上だったという男女のすれ違いをテーマにした作品でした。
よっぽど人気があったんですね。
1966年、1976年、1991年にはドラマ化されていて、そのうち1991年版はなんとNHKの朝の連ドラでした。
映画ALWAYS三丁目の夕日でも薬師丸ひろ子演じるお母さんそっくりのシーンをやってますね。
これは君の名はへのオマージュでしょう。
岸恵子がストールを頭巾のように巻き付ける「真知子巻き」は女性のファッションとして大流行しました。
これは実は北海道ロケがあまりに寒かったので私物のストールを頭に巻いていたら、それがかっこいいってことで映画本編で採用されてしまったのが始まりだそうです。