「え〜ィ、猪口才な小僧!名を、名を名乗れ!」
「赤胴、鈴之助だー!」
チョコザイと聞くと平成生まれの方は中居正広演じる知的障害者の名探偵アタルを思い浮かべるかもしれませんね。
でも、昭和のアニメで「チョコザイ」と来たら、これしかありません!
幕末期の江戸三大道場の一つ千葉周作道場で修行する少年金野鈴之助の物語です。
父・金野鉄之助を早くに亡くし、その形見の赤胴を着けて剣術に励むから通称赤胴鈴之助。
(人力でかまいたちを出す赤胴真空斬り)
私には人力でかまいたちを出す危ねぇガキにしか見えませんけどね。
父の友人の千葉周作に預けられて修行中の子って設定です。
(稲妻斬りの龍巻雷之進)
千葉周作の門下ってことは文化文政よりも後。
幕末から幕末に近い時代。
兄弟子は試合の度に立ち塞がるライバルで稲妻斬りの龍巻雷之進。
(鬼面党)
敵は倒幕テロ組織の「鬼面党」です。
元ネタは多分幕末に水戸藩の武士たちが作った天狗党でしょうね。
作中にはどこの藩かなんて描かれてませんが、江戸幕府に抵抗してますから、薩摩、長州、土佐、水戸のいずれかでしょう。
放映期間は1972年4月5日から1973年3月28日まで。
4クール52話、放映されました。
原作は竹内つなよしが1954年から1960年にかけて少年画報に掲載した漫画です。
アニメに先立って1957年1月7日から1959年2月14日までTBSラジオ(当時はラジオ東京)でラジオドラマ化されてます。
(鈴之助とさゆりちゃん)
ドラえもんでいうとしずかちゃんの立ち位置。ヒロインで鈴之助のガールフレンドというと道場主千葉周作先生の娘さゆりちゃん。
(ラジオドラマ収録中。まだ子供だった吉永小百合。この頃から綺麗だった)
あの名前、大女優吉永小百合に由来しているのです。
ラジオドラマ赤胴鈴之助のキャストは公開オーディションで選ばれました。
吉永小百合はヒロイン役を見事射止めました。
その上、役名に自分の名前が使われ、女優デビュー作となったなったのです。
母がこのアニメ観る度によく言ってましたよ。
「赤胴鈴之助かぁ。懐かしいわねー。昔ラジオドラマだったのよ!これ。さゆりちゃんはラジオドラマのときに吉永小百合がやっていたからさゆりちゃんなのよねー!」
千葉道場玄武館なんてとこに預けられるくらいですから、金野家は佐幕派大名の家臣でそこそこ身分の高い上士。
(千葉道場の北辰一刀流は他所が木刀を使うのに対し、竹刀を導入していました。理論的な指導を行い、近代剣道の基礎となりました)
当主鉄之助死去により、家督を鈴之助に継がせ、お殿様の命令により、江戸詰め。
千葉道場玄武館での北辰一刀流免許皆伝のミッションまであったんでしょうね。
各地で倒幕の機運が生まれてきた時代、佐幕派大名は勤皇派の攻撃に備える藩も当然あったと思います。
藩士子弟を子供のときから鍛えてそれらのスペシャリストを養成しようと考える藩があっても不思議はありません。
鬼面党と対峙し、人力かまいたち「赤胴真空斬り」を繰り出す背景って藩のお家事情だった⁈
あったと思います。
だとすると明治維新では佐幕派武士として勤皇の志士と戦っていたことでしょう。
戦死してなければ斎藤一みたいに警察に入ったかもしれませんね。
ただ、捕物の度に真空斬りを出されたんじゃ悪漢泥棒の皆さんは堪らないですね。
人工かまいたちでズタボロですから。
(アニメの赤胴鈴之助役は山本圭子。ロボコンとかバカボンとかちびまる子の山田など間抜けキャラが多かったですが、赤胴鈴之助については見事にヒーローになってました)