「あっしには関わりのないことでござんす」
どこからともなく現れて、ヤクザに脅された農民を助けたり、ヤクザ抗争に巻き込まれたり。
口では関わりのないことでと冷たくあしらいながら、いつの間にか助けてトラブル解決。
(昔、何かの雑誌で見ました。どうして紋次郎に中村敦夫が起用されたか。大きな三度笠を目深にかぶったとき、馬面だと顎のラインと長楊子を咥えた口元がよく見えるからですって)
学校で見たやつも見てないやつもお箸か爪楊枝を咥えてましたね。
で、親や先生にお目玉くらう。
「バカモン!喉に刺さったらどうする!」ってね。
放映は第一から第三までありました。
第一シリーズは1972年1月1日から5月27日まで全18回。
第二シリーズの「続木枯し紋次郎」は1972年11月18日から1973年3月31日からまで全20回。
第三シリーズの「新木枯し紋次郎」は1977年10月5日から1978年3月29日まで全26回。
(上州三日月村)
主役の木枯し紋次郎は天保の飢饉のときに上州三ヶ月村で生まれました。
直ぐに間引きに遭いそうになったものの姉の機転で一命を取り留めました。
幼年時代を間引かれ損ないとして差別されて生き、10歳で家を出て無宿渡世人となりました。
(人助けをして村から去る紋次郎)
そんなんだから基本的に人は信用しません。
でも根が優しいから、あっしには関わりのないことでといいつつ人助けをしてしまいます。
(刀を抜く紋次郎。剣道のような刀の振り方をしません。寧ろヤンキーが角材で戦うスタイル。剣術なんか習ったこともないわけだから当然ですね)
喧嘩剣法で長脇差一本刀ですが、棍棒のように振り回して戦います。
レギュラーは中村敦夫演じる木枯し紋次郎ただ一人で、一話完結で毎回旅をします。
(髪形がまた独特でした。全体を長髪にして、前髪はそのまま垂らし、側面と後頭部の髪で町人髷みたいなものを結ってます。普通は町人髷の月代をボウボウに伸ばした「むしり」というカツラを使いますが、こういう髪形は木枯し紋次郎以外だと必殺の秀や花屋の政ぐらいですね)
またたびモノというカテゴリーの作品ですが、殺陣は東映時代劇の影響を受けたものではなく、ラグビー部員を集めてヤクザの格好をさせて紋次郎を追いかけさせるなど破天荒なスタイルでした。
主題歌も従来の時代劇が演歌調や小唄端唄など日本的なものだったのに対し、なんとフォークです。
第一、第二シリーズは小室等作曲上條恒彦歌の「誰かが風の中で」。
第三シリーズでは中村敦夫本人が作詞、歌がやしきたかじんの「焼けた道」でした。
全てがチャレンジの斬新な作品でしたが、必殺シリーズの人気には及ばず、第四シリーズは作られませんでした。
(映画版木枯し紋次郎。文太さんは丸顔だからうつむくと顔が三度笠で隠れる……かな⁈)
その代わりに菅原文太主演の映画が1972年に、単発ドラマが1990年(主演:岩城滉一)と2009年(主演:江口洋介)に制作されました。
今、新しく作ったら、意外とウケるかもしれませんね。