ドロドロに暗い話を前回お届けしましたが、その最も対極の時代劇をNHKが作ってました。
(山口崇の平賀源内)
山口崇演じる平賀源内が主役の時代劇コメディ。
まぁ、切った張ったは無し。
江戸の町の蘭学者源内先生のところに毎回相談事が持ち込まれる。
テーマは大体江戸の科学力と行政問題。
歌舞伎役者の使う白粉に使われる鉛で歌舞伎役者が病気になったり、死んだりと言った問題やゴミ問題とかやってましたね。
カラクリ人形や和時計、エレキテルなんてモノを知ったのはこのドラマを通してでした。
(源内先生の作成したエレキテル)
放映期間は1971年10月8日から1972年9月29日まで一年間46回。
(稲葉小僧、平賀源内、小野右京之介)
源内先生の助手らしき怪しい浪人者小野右京之介に林隆三。
憧れのマドンナ・紅さんに中野良子。
いつも腑分け腑分け(罪人の解剖ね)と騒ぐ蘭方医の杉田玄白に坂本九。
源内先生には何故か泥棒の友だち稲葉小僧がいて、津坂匡章時代の若き秋野太作が演じてました。
この稲葉小僧、源内先生宅に泥棒仲間の田舎小僧やら葵小僧やら連れて来てましたね。
(破天荒なのはこんなふうに昭和の日本の光景が何気なく差し込まれている点もですね)
源内先生は二日酔いになると脳味噌をチャポチャポ言わすし。
小学生のときドラマは金曜8時だったんで、土曜の朝の挨拶は、決まって、「おはよ!よう、昨日の源内見たかよ!」でしたね。
最終回も凄い話でしたね。
史実の平賀源内は誤解で人を斬って牢に繋がれて獄死してますが、それは全部でっち上げで源内先生と愉快な仲間たちは死んだことにして、みんなで気球に乗って、オランダに渡っちゃうでした。
何それ〜!って感じ。
こんな破天荒なドタバタ時代劇コメディ、CSか何かで是非見たいものですが、実はもう見られません。
NHKは組織レベルで痛恨のエラーともいうべき失策をしたのです。
1970年代、民放はドラマをB級映画に使うような16ミリフィルムで撮影、保管してました。
一方、NHKはというと機材もテープも大変高価だったビデオで番組制作をしていました。
テープが高価だったため、各番組使い回しです。
民放がDVDを発売し、ローカル局やBSやCSにコンテンツ販売して利益を上げる一方でNHKは貴重な番組のビデオを消してしまって何も出来なかった訳です。
天下御免については主演の山口崇が個人的に録画した第一回と最終回だけが保存されているのみです。
(実際の平賀源内)
ビデオ導入当初は民放が買えないビデオを導入したぞ!と鼻息も荒かったと思います。
せめて放映が終わったビデオは16ミリフィルムに起こしてから消していたら、こういうことにならなかったんですけどね。