昭和の子供アルアル!
ボール遊びでバレーボールをしようとなると、サーブで決まって後ろ向きになって、腕をブンブン振り回して、ボールをあらぬ方向に飛ばすヤツ!
よくいたでしょ?
私もだよっ!
じゃぁ、この変なサーブの元ネタは?
ハイ、「サインはV」
放映期間は1969年10月5日から1970年8月16日。
元々は少女フレンドの企画。
東洋の魔女の活躍で女子バレーが人気に!
マーガレットがそれに便乗してアタックNo.1を出して大ヒット!
それを見た少女フレンド編集部がうちも女子バレースポ根をやりたいと梶原一騎に話を持って行ったら、ギャラは高いし、スケジュールが合わない。
若手の神保史郎に頼んで原作を作ってもらってスタートしました。
(稲妻落としを決める朝丘ユミ)
主役は岡田可愛の演じる朝丘ユミ。
エース級の選手ながら高校バレー部を退部した。
朝丘ユミの姉の朝丘美代も有名なバレーボール選手だったが、実業団チームのコーチの過酷なしごき。
ハード過ぎるトレーニングで心臓発作を起こして命を落としていた。
ユミは姉の命を奪ったバレーボールが憎くてバレーボールから離れたが、元々名選手。
立木大和(モデルは日立武蔵、のちの日立ベルフィーユ)という実業団チームにスカウトされた。
(恐怖の鬼コーチ牧圭介。演じた中山仁が亡くなる前のインタビューで述懐してました。ジャージ着て体育館で怒鳴るだけの役だったから、楽だったけど、牧圭介は酷いヤツだったね。選手役の女の子が傷だらけあざだらけなのにまだまだっ!なんて言うんだからってね)
入ってみるとコーチが姉を死なせたという噂の牧圭介。
朝丘ユミは疑惑を持つがまもなく誤解が解けた。
姉の朝丘美代は選手を引退させられないように家族にもチームにも心臓病を隠していた。
その上でトップアスリートになりたくて、自ら牧圭介の地獄の特訓に参加していたことが明らかになったのだ。
牧圭介への不信感は信頼へと変わった。
少女漫画の企画からスタートしたので当然意地悪キャラがいます。
(性悪アスリートの椿麻里)
中山麻理演じる椿麻里ですね。
天才アスリートだけど性格がすこぶる付きに悪い。
ドラマ中盤でせっかく姉御肌で人のいい松原かおり(岸ユキ)をキャプテンにチームがまとまってるのに裏切ってライバルチームのレインボー(ニチボー貝塚、のちのユニチカフェニックス)に移籍しちゃいました。
レインボーの椿麻里は朝丘ユミの稲妻落としをしっかりレシーブするし、X攻撃をパクるし、朝丘ユミをきりきり舞いさせる悪魔みたいなヤツでした。
椿麻里に代わって立木大和に入ってきたのが、椿麻里と互角の実力者ジュン・サンダース。
范文雀が顔にラッツアンドスターみたいなドーラン塗って、アジア系と黒人のハーフのロングヘアのジュン・サンダースを熱演しました。
(范文雀が熱演したジュン・サンダース。実は朝丘ユミよりジュン・サンダースの方が好きだったなァ)
進駐軍のアメリカ黒人兵と日本人娼婦の間に生まれて、捨てられて養護施設のエリザベスサンダースホームで育ったジュン・サンダースは人間嫌い。
根は優しいのにはすっぱでことあるごとに突っかかる。
牧圭介にテクニックを見込まれて朝丘ユミとセットでX攻撃の猛特訓を受けるうちにだんだんチームメイトの優しさに心を開いて行きます。
打ち解けたのも束の間、ジュン・サンダースは骨肉腫に冒されて命を落とします。
最後にVサインを出して死ぬんです。
今のピースサインみたいな軽いもんじゃなかったですよ。
victoryのVです。
国内大会で優勝して全日本として国際大会、ミュンヘンオリンピックに進んでくれ!って重い意味でした。
范文雀さんはこの熱演で注目されて、後番組のアテンションプリーズにも出ました。
ツンデレというべきか。
優しいくせにはすっぱでとんがった役は天才的に上手かったですね。
こういうタイプの女優さんってのちの中森明菜ぐらいじゃないですかねぇ。
原作が梶原一騎でなく神保史郎だったのが良かったのかもしれません。
単なるスポ根で終わらず、女子実業団バレーチームを取り巻く人間模様を描いたドラマになってましたからね。
私は小さい頃からドラマ性の高い作品が好きで、バトルばっかりの作品を見ると、つまんねぇの!とか言ってましたから。
個人的にはアタックNo.1の鮎原こずえがミカサに入って朝丘ユミと戦うところも見たかったですが。