レトロ万華鏡

昭和レトロなものいっぱいのブログです。

思い出のドラマ現代劇編9 どっこい大作

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ポォ〜〜……

「どっこい!どっこい!どっこい!どっこい!どっこい!…」

気合いを入れて闘魂を示すとき、相撲のてっぽうをやる太めの若者!

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(どっこい大作の主役田力大作。1年を越える撮影で金子吉延は高校を辞めざるを得なくなり、撮影終了後復学。長すぎでしょ!)

しかもてっぽうをやるとき必ずSLの汽笛が効果音で入る!

今回の思い出のドラマは画面の忍者青影の金子吉延主演の商売人根性ドラマ「どっこい大作」です。

宗教とはなんの関係もありません。

放映期間は1973年1月8日から1974年3月25日までと1年を越える長い作品でした。

ストーリーはこんな感じ。

貧乏牧場の子田力大作は借金のカタに牧場を金貸しの二階堂(志村喬)に奪われ、行き場を失う。

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(金貸しの二階堂)

日本一の男になると宣言して中学を出ると、上京して相撲部屋に行くも入門出来ず。

どうしようもなくなった大作に金貸しの二階堂は何故か仕事を紹介した。

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(珍竜軒。ロケに実際のラーメン屋が使われたのですが、定休日だけの撮影の約束だったのが、営業日も撮影し、営業妨害だって撮影を拒否されました。大作が仕事を点々とした理由がそれ)

就職先は潰れかけたラーメン屋「珍竜軒」

そこで必死にラーメン屋修行をする。

珍竜軒を潰しにかかっているのがラーメン太郎の山田太郎

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山田太郎の主題歌レコード。ドラマではとんだワルでした)

主題歌のど演歌歌ってる人です。

コイツが凄い悪いやつ。

窮鳥懐に飛び込むで思いあまった大作クン、山田太郎にラーメンスープの作り方について教えを乞う。

「この煮えたぎった鍋に手を突っ込んだら教えてやるよ」

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(珍竜軒の親方青山儀三郎は多々良純

煮え湯に手なんか入れたら、片手を失います。

本気でラーメン屋生命を奪う気ですよ。

なのに大作クン、鍋に手を突っ込んで大火傷にならなかった!

あり得ないよねェ。

コイツは本物のワルだって気づいた大作クン、自力でラーメンスープを極めてラーメン太郎を打ち負かす!

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(先輩がなんとキレンジャー畠山麦。事故を起こした先輩だったかどうかは失念しました)

ラーメン屋が軌道に乗り始めた矢先、先輩と仕入れにトラックで行くけど、途中で交通事故を起こす。

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(清潔社の皆川社長は牟田悌三

相手は小さなビル清掃会社「清潔社」の社長の皆川雄三(牟田悌三)。

大作クンは皆川に申し訳なくて、ラーメン屋を辞めて「清潔社」で住み込みで働くことに。

ここで清潔社を脅やかすのが新清潔社というライバル会社と風の三郎(なんとミラーマン石田信之!)なる伝説の掃除夫。

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(風の三郎)

敵に客を奪われないよう頑張り、大作クンは清潔社を立て直す。

かつての珍竜軒から支店の店長にと声をかけられ、清潔社の皆川社長には後継者にと懇願される。

これ、金持ち父さん、貧乏父さんなら経営と投資のステージに来たってことですよね?

普通ならラーメン屋店長とビル清掃会社次期社長。

どっちの仕事が好き?

どっちが向いてる?

どっちが稼げる?

どっちが将来性があるの?

…って一人で悩むところです。

決めかねて新宿の母のところに行っちゃう人もいるでしょう。

ところが大作クン、何を血迷ったのか、二階堂に相談して、初心に帰れなんて世迷言を吹き込まれます。

で、蒸発!

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(小山孫一役は由利徹

ニコヨン(日雇いの土木作業員)に行って、ヤクザにたっぷりピンハネされてバトルになり、その過程で小山孫一(由利徹)と出会います。

小山は名のあるパン職人でしたが、彼の店「ハッピーパン」は窮地に立たされてました。

大作クンはハッピーパンで働くことにし、住み込みでパン修行を始めました。

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(伝説のパン職人は仮面ライダー2号でした)

ここで立ち塞がるライバルは仮面ライダー一文字隼人の佐々木剛さん。

今はリアルで居酒屋してますが、ここでは伝説のパン職人!

最終的にパン勝負をして大作クンは負けます。

ところがハッピーパンはファンがいっぱい出来て、地域から愛される名物パン屋さんになりましたって結末でしたね。

確か。

ストーリーの背景とテーマって集団就職と金の卵ですね。

どっこい大作クンはその最後の世代。

集団就職というのは田舎の中卒が都会の町工場などに大挙就職しにくるやつです。

まぁ、変形した丁稚奉公ですね。

江戸時代の町人は寺子屋を終えると男の子は職人の親方か、商家の旦那さんに奉公し、女の子は女中か子守の奉公に出されました。

家業を継ぐ場合は親父さんに弟子入りするか、他所で修行するか。

面倒見の良い親方や旦那様に恵まれると色々教えてもらえて、いっぱしの職人か商人に成長出来ますが、一生奴隷代わりにこき使ってやろうなんて悪い了見の親方や旦那に奉公し

たら大変です。

仕事なんかまるで教えてもらえず、下働きとして早朝から深夜まで酷使されます。

食事も大将や先輩の残飯。

耐えらなくなれば、ばっくれますね。

そんな子を引き受けるのはヤクザの親分か盗賊のおかしら。

見事に反社会組織の構成員になってしまいます。

鬼平や金さんにありがちな話でしょ?

明治以降は寺子屋を出たらが、尋常小学校を卒業したらに変わります。

コレが戦後、中学を出たらに変わって、就職先も職人や商家以外に料理屋や町工場などが加わります。

このシステムは一人前になるまでにやたらと時間がかかる上、途中で挫折する人も少なからずいて、使用者側から見て効率が良くありません。

一方、どっこい大作を見ていた私たち子供は思いました。

中卒で就職したら、えらい目に遭うな。

高卒もキツそう!

真面目に勉強して、大学か専門学校に行くべってね。

就職する側もさせる側も中卒は回避するようになって、その後、中卒就職はほとんどなくなりました。

コメディリリーフもいないし、話が長くて暗かったけど、子供にはある種の教訓になりましたねぇ。