(国会図書館に残れる大岡越前の実際の肖像画。見事なキツネ顔)
前回の遠山の金さんについてレスいただきました。
なんと最近の若い人は遠山の金さんを架空の人物だと思っているそうです。
黒門町の伝七親分はフィクションですが、遠山の金さんこと遠山左衛門少尉景元(1793〜1855)は実在の人物ですよ!
水野忠邦の天保の改革で芝居小屋廃止、歌舞伎禁止に真っ向から反対。
浅草への移転だけにとどめたことを歌舞伎役者や小屋主に感謝されて遠山の金さんの歌舞伎が作られました。
それが後の映画やドラマの遠山の金さんの元になりました。
さて、今回の主役は大岡越前。
勿論実在の人物です(1677〜1752)。
実際にいろは48組町火消し創設に携わりましたから。
ドラマでも後にネタ切れしてくると落語から話を取るなど史実と関係ない話や時代考証の荒れも出てきますが、初期は享保の改革に沿った内容になってます。
放映時期は1970年から1999年でほぼ半年単位で水戸黄門と入れ替わり立ち替わりやっていました。
遠山の金さんは凶悪犯罪に立ち向かっていましたが、こちらは民事や行政の話が結構出てきましたね。
覚えているのは子争いと三方一両損ですね。
子争い
あるところに孤児がいて、母親が二人も名乗り出てきた。
双方とも「あっちは偽の母親だ!」と譲らず、裁きになる。
「では子供の腕を一本ずつ掴んで、左右から引っ張れ! 子供を引き寄せた者を母と認めよう」
忠相の言葉に二人の女性は子供の引っ張り合いを始める。
「痛いよ〜!」
泣き叫ぶ子供。
咄嗟に片方の女性は顔色が変わり、手を離してしまう。
もう一人の女性が子供も引き寄せた。
「それまで!真の母親は手を離した方の女じゃ。母親なれば、子供が痛がって泣いているのに、どうして強く引けようか?」
大工が道端で巾着を拾うと3両入っていた。
こんな大金を失くしたら、困るだろう。
大工は落し主を探し出して届けに行った。
(三方一両損の御白洲)
ところが、落し主はとんでもない頑固者。
届けた3両をテコでも受け取らない。
「落としたカネはオイラんじゃねぇや。
3両持って、とっとと帰ェりな!」
それで二人は喧嘩になり、南町奉行所が仲裁することに。
忠相は巾着の3両の上に懐から小判を一枚出して、上に置いた。
「二人とも2両ずつ持ち帰れ。拾い主は黙って家に持って帰れば3両になったのに1両の損。落し主は素直に受け取れば3両になったのに1両の損。そしてこの忠相は1両出した故、1両の損。三方一両損なり」
越前役は加藤剛。
謹厳実直。
真面目と正義感を絵に描いたようなエリート官僚を見事に表現。
(奥方の雪絵)
(密偵の三次は松山英太郎。この人のせいで広島県の三次をサンジって読んじゃったよ〜ん!)
(榊原伊織)
(神山左門)
(村上源次郎と辰三親分)
これを密偵の三次、奥方の雪絵(宇津宮雅代)、親友の医師榊原伊織(竹脇無我)、与力の神山左門(天知茂)、じいや兼任の同心村上源次郎(大坂志郎)、村上の雇っている岡っ引の辰三親分でサポート。
(大岡忠高)
(将軍徳川吉宗)
やんちゃで年寄りの冷水を絵に描いたような親父の大岡忠高(片岡千恵蔵)と世間知らずで出しゃばりの上様徳川吉宗(山口崇)が引っ掻き回す。
あのお堅い越前公。
アレ、加藤剛の地でっせ!
ってことで加藤剛、石頭コーナー!
加藤剛は「社会啓蒙のために役者やってる!」と公言してます。
堅いねぇ!
加藤剛はギャグを言われてマジに受け取り、3日悩んで、アレはギャグだったか!と言い出す。
極め付け。
父親役の片岡千恵蔵が麻雀牌を持つ手付きをして、休憩中にやろうぜ!と言ったら、キョトンとした。
片岡千恵蔵は呆れて一言。
「大学に行って、一体何を勉強してたんだ?」
早稲田で暇さえ有れば演技の稽古と哲学書を読むを繰り返していたようで。