レトロ万華鏡

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似而非カラーシリーズ 日本の特急6 地方だってビジネス特急こだまが欲しい1

年配の鉄道ファンの方に子供のころ、夏休み旅行でビジネス特急こだま号に乗ったことがないかと聞いたことがあります。

「そんな高い電車に乗れるのはお大尽でしょ!」

普通の家庭だとお父さんが奮発しても急行なにわの寿司ビュッフェで大人のお尻を見ながらお寿司を食べるか、客車急行の食堂車でカレーライスかカツライスってパターンが多かったようです。

あるいは小田急ロマンスカーで箱根に行くとか。

かなり高根の花だった様子です。

でもビジネス特急こだま号はみんなのあこがれの列車だったことは間違いないようです。

その人気から地方からもこだま号を走らせたいという要望が多かったようです。

161系とき

最初にこだま号風の列車を走らせたのは上野ー新潟間のときでした。

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 これがその特急とき。

1962年6月に信越線長岡ー新潟の電化が完成したのを機にこだま型電車を運行しようという話になったのですが、当時大蔵大臣だった田中角栄の政治力もあったようです。

しかし、平坦な東海道本線とは異なり、上越線は20‰の勾配が続く山岳路線。

そこでビジネス特急こだま号の151系電車と準急日光や臨時特急ひびきに使っていた

157系を持ち込んで走行試験を行いました。

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 臨時特急ひびきの157系はこんな車両。

前面は急行型から貫通扉を省略したスタイルで座席はこだま号と同じ。走行装置は急行型と同じでパワーはありますが、スピードは出ません。

実験の結果、ビジネス特急こだま号の車両はモーターが焼けました。

157系は支障なくスイスイと上越国境を駆け抜けました。

国鉄は157系でときを運行しようとしましたが、ボンネットもない、クーラーもない、食堂車がなくて、代わりに売店コーナーがあるだけの157系はいかにも見劣りがする。

新潟や群馬で嫌がられました。

そこで国鉄は足回りは157系で車体はビジネス特急こだま号というとき専用の161系電車を作りました。

東海道のような大動脈ではないのでパーラーカーは作らず1等車(のちのグリーン車)と2等車(普通車)と食堂車の9両編成になってます。

内装はビジネス特急こだま号と同じです。

新幹線開業後はモーターをパワーアップし、181系40番台となりました。

 

481系雷鳥

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地方にもこだま型電車を!第2弾は北陸本線雷鳥号です。

1964年に金沢ー富山操車場が電化されたのを機に大阪と富山を結ぶ特急雷鳥と姉妹列車で名古屋と富山を結ぶしらさぎ号を運行することになりました。

しかし、北陸本線の電化は60Hzの交流電化。

交流・直流両用電車とする必要が出てきました。

交流機器を搭載するため床は120mmかさ上げされてます。

ちなみにボンネットの中身はエアコンプレッサーとサービス電源を供給するための150KVAの大型電動発電機です。

これはビジネス特急こだま号と共通。

とき同様パーラーカーは作られていません。

編成は2等車8両、1等車2両、食堂車1両の11両編成になりました。

1965年には鹿児島本線の熊本までが交流電化され、481系は山陽本線経由で熊本まで運行するために増備されています。

スカート部分を隠してしまうとビジネス特急こだま号とそっくりです。山陽本線には新幹線開業後にこだま号の車両が導入されて紛らわしくなったので、スカートの上のほうにクリーム色の帯が追加され、ヘッドライトケースの上には赤い眉毛が描かれました。

 

483系ひばり・やまびこf:id:T_YAMADA:20190723222552j:plain

こだま型電車を新製して導入する第3弾は東北本線でした。

東北本線の黒磯から盛岡までが交流電化されたため、1965年に特急電車を導入することになりました。

ところが、東北本線は交流は交流でも北陸本線とは違い、50Hzです。

そこで、電動車だけは形式を変えて483系とし、先頭車と付随車は481系の続き番号で製造することになりました。

雷鳥は1等車、つまりグリーン車は2両でしたが、東北本線向きは1等車は1両に減らされ、10両編成となりました。

こうして上野ー盛岡のやまびこと上野ー仙台のひばりが誕生しました。

これで上野駅にはのちにボンネットスタイルの名特急として人気を博したときとひばりがそろい踏みとなったわけです。

 さて、ここからは似而非カラーではなく、私が上野駅で撮影したフルカラーの写真となりますが、ひばり号の車内をお目にかけましょう。f:id:T_YAMADA:20190723224220j:plain

 こちらがグリーン車。ときやビジネス特急こだま号とそう変わりません。

 

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 普通車です。ほぼビジネス特急こだま号ですが、違いは120mm床がかさ上げされたため、デッキにはステップがついていました。f:id:T_YAMADA:20190723224256j:plain

 営業していない食堂車です。

こちらは乗務員の休憩用にされていました。

ビジネス特急こだま号やときとの違いは勘定台にえんじ色のL型の仕切り板が廃止されたところです。