「今度、名画座でビジネス特急こだま号を貸切ってロケをやった映画が上映されるってよ」
高校生の私はとっておき情報ゲット!
幼稚園児の時、絵本で見つけて乗りたがった「ビジネス特急こだま号」
その頃のこだま号は新幹線の各駅停車なのに!
カッコいいって思ったんですよ。
その後、こだま号の電車は上越線のときと中央線のあずさになりました。
中学2年から誕生日プレゼントで貰ったポケットカメラを持って休日に上野駅にたむろするガキになりました。
ビジネス特急こだま号でロケをやった映画が上映?
おいしいニュースですよ。
勿論見に行きました。
1963年封切。
同時代の植木等の無責任シリーズはカラーです。
当然カラーでしょ?
ありゃっ?白黒だ!
前回お約束したカラー映画時代に撮影された白黒映画、一本目はコレ!
黒澤明監督作品「天国と地獄」です。
あらすじはこんなのでした。
横浜のスラム街に住んでる貧しいシャブ中の研修医の竹内銀次郎は丘の上を見ては嘆きます。
演じているのは若き日の山崎努。
棺桶の鉄です。
「くっそー!金持ち共め!今にみやがれ!」
ある日竹内は仲間を集めて、丘の上の豪邸の家の子を誘拐します。
丘の上の豪邸は大きな靴工場の重役さんの家。
三船敏郎演じる靴工場の重役権藤金吾は仕事に厳しい。
ちょっとでも仕上がりの悪い靴を作ると、「ダメだ!こんなの!」って激怒して靴を千切るんです。
鬼ですね。
権藤の息子はマグマ大使を笛で呼び、大人になってからはニッチもサッチもどうにもブルドックだった江木俊夫。
拐われた筈が家に帰ってきます。
なんと誘拐されたのは権藤の子ではなく、お抱え運転手の息子でした。
竹内は誘拐する子供を取り違えました。
しかし身代金は計画通り3千万円要求。
受け渡し方法は厚さ7cmのアタッシュケースに入れて、ビジネス特急こだま号に乗る。
実際にこだま号は客室は全て固定窓。
でもトイレだけ、窓が内側に7cm倒れて開くんです。
コレは映画のスチール写真ではありませんが、ビジネス特急こだま号の写真です。
幅7cmの開口部からアタッシュケースを竹内は指示通り相模川の河原に落とします。
下にいた竹内たちは見事にキャッチ!
緊迫感溢れてました。
竹内たちはお抱え運転手の息子を解放し、身代金を持って逃走。
運転手の息子の証言で犯人のアジトらしき場所に刑事が踏み込む。
でも、そこには殺された共犯者たちの遺体が転がっていました。
身代金を独り占めするため、仲間を皆殺しにしたわけです。
刑事は誘拐並びに殺人容疑で竹内を追います。
竹内の潜伏先を絞り込んだところ、ピンクの煙が上がりました。
ここだけは似而非カラーにしませんよ!
だって、黒澤明監督が一番撮りたかった場面ですからね!
身代金のアタッシュケースには仕掛けがありました。
燃やすとピンクの狼煙が上がるんです。
白黒画面で煙だけどピンクですよ!
刑事たちが煙が上がった場所を探し出し、山崎努演じる誘拐犯の竹内は捕まって死刑になります。
内容からしたら、フルカラーでも不思議はありません。
でも白黒映画。
どうも、黒澤明監督は白黒の街並みからどピンクの煙が上がる動画が撮りたくって、撮りたくって、白黒フィルムを使ったようです。
そうじゃないンですか?
監督!!
あと、今回、「天国と地獄」を紹介するにあたって、改めて予告編を確認しました。
いやはや、面白いモノを見つけましたよ。
食堂の窓に白ペンキで書かれたお品書き!
サラダ定食
상추정식
焼肉定食
불고기 정식
野菜五目飯
비빔밥
なんと韓国語です。
日ノ出町という設定のようです。
あの辺り、今でも小さなコリアタウンがあります。
1960年代初頭にもホントに韓国人が店を構えてハングルの看板を出していたら、興味深いですね。