横浜で昭和レトロとなると外せないのが外人墓地周辺の山手の洋館です。
幕末から明治にかけて山手はブラフと呼ばれ、多くの欧米人が住みました。
本来、明治期、大正前半の洋館はありましたが、関東大震災でほとんど倒壊しました。
山手にも明治時代の洋館があるにはあるのですが、だいたいよそから移築されたもの。
戦前からある洋館は復興建築で大正末期から昭和初期に建てられたものばかりです。
なので、山手の洋館はほぼ昭和レトロです。
そんな洋館をちょっと散歩して訪ねてみましょう。
ブラフ18番館
イタリア山にある白いモルタル壁にオレンジ色のフランス瓦の寄棟屋根の洋館です。
震災後の大正時代末期にオーストラリア人貿易商バウデン氏が山手町45番地に建てたもので、戦後はカトリック山手教会司祭館となっていましたが、1991年に横浜市が譲り受けて、イタリア山に移築しました。
台形の出窓や上げ下げ窓、バルコニーやサンルームに往年の外国人住宅の特徴を色濃く残しています。
公開は1993年から。
部屋はホールとギャラリーをを小会議や展示用に貸し出しています。
休館日は第2水曜日と年末年始。
開館時間は9時半から17時となっています。
入館料は無料ですが、ギャラリーやホールを借りる場合は有料です。
外交官の家
ニューヨーク総領事やトルコ特命全権大使などを歴任した明治の外交官内田定槌氏が東京都渋谷区南平台に1910年に建てた洋館を1997年に内田定槌氏の孫の宮入氏が横浜市に寄贈したところから、イタリア山に移築、一般公開となりました。
設計者はセントルイス出身のアメリカ人で宣教師のジェームズ・マクドナルド・ガーディナー。
ガーディナー(1857~1925)は1880年に立教大学の前身の立教学校第3代校長に就任し、1891年に退任し、建築家となった人物です。
外交官の館以外に明治村で展示されている京都聖ヨハネ教会 なども設計しており、教会建築を得意としていたようです。
外交官の館は塔屋つき木造二階建てでラップサイディング(アメリカ下見板張り)の壁に天然スレート葺き屋根のアメリカンヴィクトリアン様式のかなり派手な洋館です。
アメリカの東部に行くとありそうな古民家って感じですね。
元は渡り廊下で和風のお屋敷も併設されていましたが、そちらは取り壊されています。
明治期の貴重な洋館ということで重要文化財にも指定されています。
休館日は第4水曜日と年末年始。
開館時間は9時半から17時となっています。
こちらは渡り廊下で喫茶室とつながっていて、結婚式の受付もやっています。
イタリア山では以上2軒の洋館が公開されています。
イタリア山公園へのアクセスはJR根岸線石川町駅元町口から裏手の石川町駅前郵便局 に行き、すぐ前の大丸谷坂を5分ほど登ると到着します。